煙突に近づくにつれ、それがぼくらの錯覚であったことがわかってきた。
あまりに大きい煙突だったので、遠近の感覚がおかしくなっていたのだ。正体は、町外れにある大きな工場の煙突だった。
「煙突撮っておこうよ」 と、Y元にカメラを渡した。
パチ。
「あ、おっさんが入った。」
「ん?これって煙突が右に寄ってない?」
「うん。工業地帯の様子も入れとこうと思って。」
「なるほど。・・・・・・ もっと寄ってみようか、煙突。」
「うん。」
パチ。
「これでよしっと。でもこれって何の工場だろ〜ね。」