正午前、潮がとまったころ、H田さんの竿にガツンとアタリがあり、激しく竿がしなった。同じ右側面にいたので、それが大物であることはすぐに分かった。

だがしかし、強く合わせすぎたからか、仕掛けがプツンと切れしてしまった。残念。

 

「いや〜、今のはいい引きだったすねえ。おっしいなあ。」

「あああ、仕掛け細いのにしとったんよ。」

「そうっすか〜。なんだったんでしょうねえ。」

と、会話を交わしていたら、今度はぼくの竿にググッとアタリが来た。

 

「おおっ、今のがこっち来たんじゃないでしょうねえ。」

ぼくは笑いながらリールを巻きだした。が、一気に巻けない。

「ん?(地球)引っかけたかな。」

と、一瞬思ったが、仕掛けは上がってきている。そこでまたクグーンと重々しい引きが! これは大物だ! 戦慄が走る。

H田さんがばらしたのを見たすぐ後だったのもあり、無理に巻き上げることはせずに、しかしある程度の張力を保ちながら慎重にリールを巻いていく。これはいつものボロいスピニングだったら話にならなかったろう。感謝するぜ、やいさん。

クーラーボックスにしっかりと腰掛け、股下に竿のグリップを固定して万全の態勢でバトルに集中する。

 

「おおっ、タモが要るかあっ?」

後ろで釣りをしていたK原さんが察してくれて、タモをもって傍に来てくれた。これで「大きな藻」とかだったら笑うなあ。んで、ちろっとグチとかついてたらトドメだな。船上の皆が集まってきた。

魚影がゆらりと見えてきた。

「タイか?」

「いや、・・・・・・アコウじゃ!」

「マジッすか!」

「うわっ、でかっ」

 

海面に姿を現したヤツを、K原さんが手際よく掬ってくれた。ありがとうございました。

とうとう、ぼくはやってしまった。ちょっと放心状態。

 

 

48センチの大物っす。あああ、生きてて良かったぜ〜。

 

この後、昼休憩になり、またアナゴ飯をいただく。また3杯おかわりしてしまったよ。ごちそうさま。美味かった。

休憩後、潮が変わって動き出した。2時過ぎぐらいまで続けて納竿しました。

 

 

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